日本映画紹介ブログ
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喜劇 爬虫類
きげきはちゅうるい
松竹
配給:松竹
製作年:1968年
公開日:1968年5月15日 併映「悪党社員遊侠伝」
監督:渡邊祐介
製作:脇田茂
企画:本田延三郎
脚本:田坂啓
撮影:荒野諒一
美術:佐藤公信
音楽:八木正生
照明:佐久間丈彦
編集:杉原よ志
録音:山本忠彦
調音:松本隆司
監督助手:山根成之
装置:石渡敬之助
進行:萩原辰雄
現像:東洋現像所
製作主任:沼尾鈞
出演:渥美清 西村晃 大坂志郎 小沢昭一 森下哲夫
シネマスコープ カラー 91分

石川県山中温泉にある銀星ミュージックにやってきたストリップ一座。その目玉は看板スターのメリイ・ハーローによる外人ヌードショーだった。一座を仕切る座長格の関元三郎は、まず最初に地元の山乃江警察署に手土産を持って顔を出し、米田一作刑事に挨拶をしようとしたがいなかった。彼は町の風紀を取り締まるための見回りと称してストリップ劇場の最前列に陣取っていたのだ。それを知った関は、楽屋に招き入れると仕事の鬼だとおだてて機嫌を取った。言い訳がましく御託を並べる米田の目に留まったのは、下着姿で部屋を歩き回るメリイの姿だった。思わずカーテン越しに覗こうとする米田を止めたのは、アメリカかぶれの雑用係で彼女の付き人のメリケンこと露木操だった。メリイのことが気に入った米田は、関にブロマイドをせがんだ。

劇場は連日満員だったものの、日給100ドル、食事はビフテキという高待遇のメリイを雇い、メリケンたちに給与を払うためには費用を削るしかなく、そのしわ寄せは一座の食事にまで及んでいた。夕食を待つ特攻くずれの用心棒・ソロモンこと山口勝則が俺たちのはどうなってるんだと食事係の坊やこと佐倉吾郎に怒鳴ると、関も早くしろウスノロと同調した。頭に来た坊やはご飯に洗濯用洗剤を混ぜて反撃した。深夜、下痢に悩まされてトイレ通いをする三人を見て彼はほくそ笑んだ。

ある日、劇場に米田が訪ねてきた。その用件とは、点数を稼がなければ本署に顔向け出来ないという理由から、わいせつ物陳列罪で関を取り調べるというのだ。彼は馴れ合いの芝居を打ち、その場を凌げればいいと考えていたが、ブロマイドが証拠となったことで3日間のヌードダンス禁止令を出さざるを得なくなったのだ。ダンスでなければ芝居や演劇でもいいという米田のアイデアを関が劇場主の仙波に伝えると、金髪女の全ストでないまがい物で客足が落ちたらギャラダウンは仕方がないと脅した。結局、客足が遠退いたことで夕食の水準はさらに下がり、ソロモンはあんな腐れ刑事を信用するからだと不満を口にした。その日メリイは食欲がなく、ビフテキをメリケンに譲った。それをパクつく彼に薦められたソロモンは、俺は毛唐の残飯をありがたがるほど落ちぶれちゃいねえと怒鳴った。さらに、戦場での食事の水準の差が先の戦争の勝敗を分けたというメリケンの言葉がソロモンの神経を逆撫でした。彼のあだ名はソロモン諸島で起きた過酷な戦いを生き抜いてきたことの証しだった。アメリカナイズされたメリケンに腹を立てたソロモンは思い切りぶん殴った。するとメリイはメリケンをかばって出て行けと怒鳴った。今まで聞いたことがないような大声に気圧されたソロモンはすぐに出て行ってやると啖呵を切ったが、誰も止めようとしないことに拍子抜けした。「義理も人情もねぇのか」。そうつぶやくと劇場を後にした。

屋台的映画館
| 砂月 | 邦画−き | 00:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
君よ憤怒の河を渉れ

永田プロダクション=大映映画
配給:松竹
製作年:1976年
公開日:1976年2月11日
監督:佐藤純彌
製作:永田雅一
製作協力:徳間康快
企画:宮古とく子 並河敏
原作:西村寿行
脚本:田坂啓 佐藤純彌
撮影:小林節雄
音楽:青山八郎
録音:大橋鉄矢
照明:高橋彪夫
美術:今井高司
製作担当:高山篤
製作主任:桜井勉
助監督:葛井克亮
編集:諏訪三千男
記録:原益子
宣伝:荒木啓二郎
スチール:柳沢英雄
技斗:高瀬将敏
監督助手:出倉寿行
撮影助手:竹沢信行
照明助手:生井典克
録音助手:金子義夫
美術助手:丸山裕司
小道具:森田穣
装飾:隠田茂治
撮影効果:諸星勇
製作進行:片岡詔一郎
特殊撮影班監督:崎山周
特殊撮影班撮影:金子友三 東通弘
特殊撮影班照明:大原正男
航空撮影:山本駿
別班撮影:秋野友宏 山本修右
航空撮影協力:坪井一郎 臼井国夫 飯野太蔵
現像:東京現像所
録音:アオイスタジオ
衣裳:第一衣裳
結髪:山田かつら店
協力:トリオ株式会社 東京ヒルトンホテル 日本中央競馬会 オンワード牧場 本桐牧場 浦河町
サウンドトラック盤:キングレコード
出演:高倉健 中野良子 原田芳雄 倍賞美津子 池辺良
スコープサイズ カラー 151分

10月10日午後3時、東京・新宿。雑踏の中で男を指差した女が声を荒げてこう言った。「あの男が犯人よ!」。電話を掛けていた東京地方検察庁検事・杜丘冬人は、警官に囲まれ連行された。女は西大久保に住む水沢恵子といい、10月3日の午前2時頃に杜丘が自宅に侵入し、現金20万円とダイヤの指輪を盗まれた上に強姦されたというのだ。住所と姓名を聞き出そうとする警官に、本庁の矢村警部にしか話す気はないと杜丘は黙秘した。警視庁新宿署に身柄を移された杜丘は捜査一課の矢村から取り調べを受けたが、アリバイを証明することは出来なかった。その後、3日の午前1時頃に起きた窃盗事件の面通しが行われ、被害者の寺田俊明がこの男にカメラなどを盗まれたと証言したことで杜丘は拘留された。翌日、矢村とともに東京地検に顔を出した杜丘は、検事正・伊藤守に自分は無実だと訴えた。だが伊藤は、たとえ無実であっても現職の検事が強盗、強姦の容疑者として逮捕されたことを恥だと考えていた。マスコミが騒ぎ出すことを恐れた彼は、一日も早く無実であることを証明するために杜丘同行で家宅捜索を行うことにしたのだが、リビングからは寺田が盗まれたというカメラが、書斎の水槽からは恵子が盗まれたという指輪が、そして寝室からは現金20万円が見つかったのだ。何者かの罠だとわかっていてもそれを証明出来ない杜丘は、吐き気がすると言って監視付きで洗面所に行った。そして監視役の刑事が一瞬目を離した隙にドアを閉めると窓から逃走したのだった。この失態にマスコミは直ぐ様飛び付き、その日の各夕刊には「凶悪検事、逃亡す」の見出しが支配した。その夜、杜丘は警戒配備が敷かれる中、自分が強盗に入ったという西大久保のアパートの管理人室を訪ねた。管理人の古谷は驚きもせずに杜丘の顔をまじまじと眺めると、あの女よりあんたの方が信用出来そうな気がすると言って中に招き入れた。杜丘が訳を尋ねると、恵子は夫婦喧嘩をして別居したいからと10月1日に越してきたものの、騒動の翌日である今日(11日)、いきなり出て行ったからだと言うのだ。古谷は、まだ警察やマスコミにも言っていない情報を杜丘に教えた。

10月13日午前11時、杜丘は能登半島にある能登金剛生神(うるかみ)にいた。古谷が恵子に悪いと思って伏せていた情報とは、彼女が抱えていた小包に書かれた住所だった。港町を歩く杜丘の目に飛び込んできたのは、写真館の店先に飾られた恵子の花嫁写真だった。店主の話でその花嫁が横路加代という名前で、昨日バス停で見かけたということを知った杜丘は加代の家を訪ねたが、彼女はすでに何者かに絞殺されていた。何か手掛かりはないかと目で探っていると、近くにあった小物入れの中から顔を出した婚礼写真が気になった。ページを開いてみると、加代の隣にいるのはカメラを盗まれたと証言した寺田だった。10月15日午前11時、杜丘は北海道日高を走る列車の中だった。寺田は本名を横路敬二といい、様似に実家があることを突き止めたのだ。乗り継ぎのバスを降りた杜丘は地元の人に教えてもらって横路邸を目指したが、既に警察が先回りをして張り込んでいた。

屋台的映画館

| 砂月 | 邦画−き | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
凶弾
松竹映像=富士映画
配給:富士映画
製作年:1982年
公開日:1982年9月15日
監督:村川透
製作:升本喜年 増田久雄
企画:奥山和由
原作:福田洋
脚本:石森史郎 北村彰 押川国秋
音楽:羽田健太郎
音楽監督:鈴木清司
主題歌:「LAST GOOD-BYE」山本達彦
撮影:坂本典隆
撮影助手:満井坦彦 池谷秀行 篠崎昭雄
オプチカル:石川智弘
美術:横山豊
美術助手:成沢守
録音:島田満
録音助手:近藤勲 林義昭 鈴木考史
調音:小尾幸魚
照明:八亀実
照明助手:高岩進 飯島興一 藤田繁夫 加藤実 福岡昭男
編集:池田禅
編集助手:中西正義 松浦和也
装置:石渡敬之助 田村武男 前田勝巳
装飾:町田武 奥村松太郎
衣裳:松竹衣裳 相澤登記雄
メーク:大庭礼子
スチール:金田正
記録:宮下こずゑ
監督助手:南部英夫 内田秀哉 飛河三義 羽二生茂樹
擬斗:國井正廣
カー・スタント:スリーチェイス
特殊機械:NK特機
車輌:トランスポート(有)
現像:東京現像所
宣伝プロデューサー:下川東彦
進行:田沢連二
製作主任:早川喜康
製作協力:(株)プルミエ・インターナショナル
出演:石原良純 古尾谷雅人 秋吉久美子 勝野洋 高樹澪
ビスタサイズ カラー 112分

大学生の荒木英夫は、少年院時代の仲間の沼田昭彦、内山正一と再会を果たした。正一の車で向かった先は北アルプスで、目的は英夫が手に入れた父親の形見であるベルギー製のライフル銃を試射することだった。気心の知れた三人は、白樺の木を標的にするなどして思い存分野山を駆け回った。その帰り、車中で昭彦が銀行強盗でもやるかと口にした。それを聞いた正一は乗り気だったが、英夫の顔色を察した昭彦は冗談だとすぐさま打ち消した。英夫の提案で石和温泉に行くことになり、高揚した正一は車を飛ばした。辺りが暗くなった頃、雨の中をずぶ濡れになって歩く裸足の女に昭彦が気づいた。駅なら何処でもいいという女を乗せた車は松本市の国道をひたすら走っていたが、前をノロノロと走るトラックを追い越したところを取り締まっていたパトカーに見つかった。追い越し違反、飲酒、スピード違反、そして車輌の窃盗容疑が掛けられた正一は、硬派な警官に引きずり出され若い警官に警察署へ連行された。車内からライフル銃が出てきたことで若者たちの言動に不審を抱いた硬派な警官は、英夫に制裁を加えた。それを見た昭彦は彼を守ろうとして揉み合いになり、警官が手放したライフル銃を掴むと銃床で何度も殴りつけたのだった。体を張って止めた英夫は昭彦を車に押し込むと、思い切りアクセルを踏んだ。

長野県警はパトカー28台と78人の警官を投入して幹線道路の検問など警備を強化したが、英夫たちの足取りは掴めていなかった。そのころ、署内では正一が刑事たちから執拗な取り調べを受けていたが、彼は決して余計なことをしゃべろうとはしなかった。「仲間を売るなんて絶対嫌だ!」。少年院で出会った三人は、両親がいないという境遇が似ていたことで絆が深まって行ったのだ。早朝、乗り捨てられた盗難車が県警に発見され、車内の指紋から英夫と昭彦の身元が割れた。少年院上がりということで、宮下捜査官は奴らは何を仕出かすかわからないと福本刑事部長に報告した。それを聞いた福本は、先入観で未成年者の犯罪を見誤ってはならないと釘を刺した。その頃、緑色の軽ワゴン車に乗り換えた英夫たちは交通量の少ない道路を選んで信濃坂駅を目指していた。駅に着くと、女は誰にも言わないからと手を振って去って行った。そこに巡回中のパトカーが現れたため、何事もないように車を発進させた。しばらく農道を走っていたが、英夫は考え事をしているうちに車を脱輪させてしまった。昭彦の力を借りて抜け出そうと試みていたところを警官に見つかり、二人は車を諦め走って逃げた。

正一の取り調べを行っていた刑事の中に、英夫と関わりの深い人物がいた。岩井刑事部長は松本北署時代に英夫が起こした事件を担当していたのだ。五歳のときに交通事故で両親を失った英夫は、姉・知子と寄り添うように生きてきた。それから十数年後、知子は年上の男と付き合っていたが、妊娠したことがわかると暴力を振るい始めた。暴力に耐え切れず堕胎すると、それを知った男は英夫の前で「近親相姦だったんじゃないのか」と言った。その言葉で頭に血が上った英夫は金属バットで男を撲殺したのだ。英夫と面会した岩井は妙な印象を受けた。殺人を犯した人物が澄んだ目をしていたからだ。それ以来、事件を起こした少年たちの心情をわかろうと努力していた。

保護司である森下周造の寺にたどり着いた英夫と昭彦は、一緒に警察に行って自分たちの言い分を伝えて欲しいと頭を下げた。だが既に寺の周囲は警察に包囲されていたのだ。森下に裏切られたと誤解した英夫は、警官に発砲すると昭彦と裏山に逃げ込んだ。

屋台的映画館
| 砂月 | 邦画−き | 18:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
恐怖のヤッちゃん
東映
配給:東映
製作年:1987年
公開日:1987年7月4日 併映「新宿純愛物語」
監督:金子修介
企画:佐藤雅夫
プロデューサー:豊島泉 厨子稔雄
原作:「恐怖のヤッちゃん」
脚本:一色伸幸
音楽:梅林茂
主題歌:恐怖のヤッちゃん〜愛と抗争の日々」土田由美withヤッちゃんズ
挿入歌:「夢で出会った少年」渡辺典子
挿入歌:「仕返しロングシュート」渡辺典子
撮影:北坂清
美術:佐藤義和
照明:安藤清人
録音:芝氏章
整音:伊藤宏一
編集:玉木濬夫
助監督:比嘉一郎
記録:中野保子
進行主任:宇治本進
企画協力:ニッポン放送 アミューズ・シネマ・シティ
製作協力:サンダンス・カンパニー
出演:山本陽一 松田洋治 南渕一輝 土田由美 三宅裕司
ビスタサイズ カラー 90分

日本中にはびこるヤッちゃん。ちょっと気の弱い高校生の井上鉄はそのヤッちゃんに苦い思いをさせられた。ある金曜日の夜、燃えないゴミの日に古新聞の束を出そうとする男を注意をしたのが運の尽きだった。その男はパンチパーマ、刺青、首から下げたお守り、そして左手には小指がないという正真正銘のヤッちゃんだった。「やっぱり燃えるか?」。新聞を突きつけられ怖気づいた鉄は思わず、最近は新聞って燃えないんですよと答えてしまった。それを聞いたヤッちゃんは鉄に束を背負わせると火をつけたのだ。彼はその出来事がきっかけとなり家族とともに桜町へ引っ越したのだった。

バカはいるけどヤッちゃんはいない平和な千葉県桜町に謎のぬいぐるみ劇団がやってきた。彼らの正体は羊の皮を被った狼ならぬぬいぐるみに身を隠した陣内組だった。桜町のコミュニティーセンターが管理費だけで入居出来ることを聞きつけた陣内組は劇団沈丁花を装って申し込み、面接にまでこぎつけたのだ。ぬいぐるみ演劇で子供たちの上層教育に役に立ちたいという殺し文句に心を動かされたセンター長は、文化団体であれば問題ないだろうと結論づけ入居を許可した。その頃、鉄は偶然通り掛った駅の近くでヤッちゃんたちが話す陰謀を聞いてしまった。驚いた彼はセンターに通報しに行こうとしたが、その途中で美少女に呼び止められ心を奪われた。桜町高校は何処かと聞かれた鉄は、通報のことなどすっかり忘れて高校まで送り届けたのだった。
契約を終えた幹部が広場に向けて大きく丸印のサインを送ると辺りは一変した。ぬいぐるみから出てきたのは、体中に彫り物をこさえた強面ばかりで、街はパニックに陥ったのだ。そこへ到着した鉄はあまりの恐ろしさに腰を抜かしてしまった。

ヤッちゃんたちの巧妙な手口に次々と騙される住民たち。それは鉄や友人も例外ではなかった。鉄は1万円のヒヨコを買わされ、田中春樹はパンチパーマ、小山明夫は1パック4千8百円のたこ焼きを買わされたのだった。翌日、学校で愚痴りながらそのたこ焼きを食べた三人は、廊下で美少女と出会った。それは鉄が学校まで案内したあのときの少女だった。会議室から出て来た担任の服部さち子が転校生してきた同じクラスの陣内くるみだと紹介すると、 鉄は心をときめかせた。放課後、親しげに話す鉄に明夫と春樹は嫉妬したが、さち子の話に青ざめた。くるみは組長の娘なのだ。さち子はクラスメイトの小指を守ってあげてと頭を下げたが、意地の悪い二人は逆にくっつけてやろうと企んでいた。

屋台的映画館
| 砂月 | 邦画−き | 21:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
金環蝕
大映映画
配給:東宝
製作年:1975年
公開日:1975年9月6日
監督:山本薩夫
製作:徳間康快 伊藤武郎
企画:武田敦
原作:石川達三
脚本:田坂啓
音楽:佐藤勝
撮影:小林節雄
美術:間野重雄 今井高司
録音:信岡長治
照明:渡辺長治
編集:鍋島惇
助監督:後藤俊夫
製作主任:遠藤雅也
配役担当:宮古とく子
アシスタントプロデューサー:高橋正名
出演:仲代達矢 宇野重吉 三国連太郎 西村晃 高橋悦史
スタンダードサイズ カラー 155分

昭和三十九年五月十二日、第十四回民政党臨時大会において総裁選挙が行われた。党内最大の派閥を背景にした酒井和明と現総理大臣の寺田政臣との一騎打ちとなったこの選挙は、党を二分した。開票の結果、総数487票のうち248票を集めた寺田が辛勝し再選を果たしたが、記者たちの間では寺田が17億円、酒井が20億円を使ったという噂が流れていた。二十九日に内閣の一部を改造した第三次寺田内閣は三十日に宮中で認証式を終えた。副総理として入閣したのは、寺田の総裁当選に決定的な力となった広野大悟だった。数日後、星野康雄官房長官の秘書・西尾貞一郎が石原商事を訪れた。金融王と呼ばれる社長の石原参吉に返済期限を一年として極秘裏に二億円を用立てて欲しいと願い出たのだった。石原は利息や担保など具体的な話をしようとしたが、西尾は詳細な条件を知らされておらず、答えることが出来なかったため断わった。その日の朝刊には官房長官就任のニュースが一面で扱われており、仮に金を貸したとしてもそれがまともに使われるはずがないと石原は考えていた。彼は社員の荒井と脇田を呼ぶと星野の身辺調査を命じた。石原は荒井たちだけでなく、料亭・春友で下足番を務める小坂老人にも調査を頼み、得られた情報は石原の妾である赤坂芸者の荻乃を通じて受け取ることになっていた。二つの情報を照らし合わせた結果、日時と場所は離れているが、いずれも電力開発株式会社と青山組の幹部が同席していることがわかった。「福竜川ダムか」と石原は呟いた。

電力開発は、北海道から九州の主な川筋に巨大なダムと発電所を建設し、そこで作られたエネルギーを民間会社に売ることによって成り立っている。この資本の95%は政府の出資で、年間400億円の補助金が通産省の予算から支出されている。この国民の血税で成り立っている電力開発総裁の椅子を財部賢三は9月の任期満了を以って明け渡すつもりでいた。その最後の仕事として、懸案となっている九州・福竜川ダムの問題を片付けておこうと考えていた財部は、お膳立てを自分の手でやりたいと役員会で熱く語った。だが資料や見積書など関係する書類が一切用意されておらず、残り三ヶ月の任期ではとても無理だと理事たちから批判された。そんな中、副総裁の若松圭吉は無理であろうとなかろうと総裁はこの事業を悲願として我々に協力を求めているのだから案を業者に提示すべきだと言った。指名願の出ている業者は11社でその中から5社を指名するが、財部は計画通り頼むと担当の中村理事に言った。

石原邸に集まった荒井と脇田は、星野官房長官が二日前の晩に行われた中沢証券主催の赤坂の料亭での宴会に出たあと、ハイヤーで葉山にある別荘に真っ直ぐ乗りつけたという情報を公開した。星野が別荘を手に入れたのが前年の暮れ。時価4000万円と評価されるその別荘の名義は山瀬ミツという66歳の女だった。脇田が横須賀の法務局で調べたところ、昨年までの持ち主は日東電工の原本社長で贈与税はミツの名前で納められていた。日東電工の親会社は竹田建設であることから、石原はミツと星野との関係と星野が誰と会うために別荘へ行ったかを調べるように命じた。「きっと何か出てくるぞ」。石原はにやりとわらった。

屋台的映画館
| 砂月 | 邦画−き | 14:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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